今月の「めからうろこ話」
第5回 加齢黄斑変性(2017年5月)
今回は、加齢黄斑変性についてお話させていただきます。
黄斑とは?
網膜の中でも視力をつかさどる重要な細胞が集中している部分が黄斑(おうはん)です。
加齢黄斑変性とは?
加齢により黄斑が障害され、視力低下、変視(物が歪んで見える)、中心暗点(視野の中心部が見えない、見えづらい)をきたす疾患です。
喫煙が悪化因子として知られております。
加齢黄斑変性は大きく分けて2つのタイプがあります。
①萎縮型加齢黄斑変性
②滲出型加齢黄斑変性
治療
①萎縮型加齢黄斑変性
抗酸化サプリメント(ルテイン)の内服が推奨されています。
<ルテインとは?>
緑黄色野菜に多く含まれる、強い抗酸化作用をもつカロテノイドの一種で、眼の水晶体、網膜に多く存在します。加齢による眼の酸化を防いでいます。
ルテインは体内では産生されません。
日々の食事で継続的に摂取することが必要です。
ルテイン20mg摂取するには、ほうれんそう 約1.3束分です。
通常の食事からルテインをしっかり摂取することが難しい場合、ルテイン含有のサプリメントを
内服することが推奨されています。
②滲出型加齢黄斑変性
・抗VEGF薬硝子体注射
黄斑部に加齢性に発生した脈絡膜新生血管からの滲出性変化によりむくみ(黄斑浮腫)が生じ、著しい視力障害を来します。脈絡膜新生血管の発生には血管内皮増殖因子(VEGF)が関係しております。初期の段階では視力低下はありませんが、視力にかかわらず早期に治療を開始し視力低下を防ぐ必要があります。
抗VEGF薬(ルセンティス®、アイリーア®)を硝子体に注射することにより、脈絡膜新生血管が退縮し、黄斑浮腫を軽減させ視力低下を抑制します。
当院では、日本眼科学会抗VEGF薬硝子体注射のガイドラインを遵守し、日帰り手術をおこなっております。
続く