今月の「めからうろこ話」
第4回 糖尿病網膜症(2017年4月)
今回は、糖尿病網膜症についてお話させていただきます。
血糖値のコントロールが悪いと網膜の血管が障害され5~10年で網膜症が発症します。
視力低下などの自覚症状がないまま進行し、症状が出現した時には重症な状態になっている事もあります。
糖尿病と診断されたら早めに眼科を受診し、定期的な診察をうけることが大切です。
症状としては、かすみ、線が歪んで見える、虫が飛んで見える、急な視力低下などです。
診察では、
・精密眼底検査:
眼底(網膜)を詳細に診察します。瞳孔を拡げる目薬(散瞳薬)を点眼しおこなう検査です。
薬の効果は数時間に及びますので、その間車の運転は控えていただきます。
・OCT(光干渉断層計):
網膜の断層撮影装置です。
網膜の浮腫(むくみ)を精査できます。
糖尿病網膜症病期分類
・単純網膜症
・増殖前網膜症
・増殖網膜症
糖尿病黄斑症
物を見るのに一番大切な黄斑が障害され、神経の感度が低下して視力低下をきたします。どの病期にもおこりえます。
治療
①レーザー網膜光凝固治療
新生血管が発生することを予防し、すでに発生している新生血管を退縮させる治療となります。
増殖前網膜症や増殖網膜症や黄斑症に対して効果があります。
②薬物治療
・抗VEGF薬硝子体注射(ルセンティス®、アイリーア®)
新生血管を増殖させたり、血管内から水分を漏出させる要因となる血管内皮増殖因子(VEGF)を抑制する治療です。
眼内中央にある硝子体に薬剤を注射します。黄斑浮腫を減少させ、視力改善を目的に行います。薬の効果はある一定期間持続しますが、再発する場合は再投与を検討します。
③網膜硝子体手術
増殖糖尿病網膜症に至ると硝子体出血や網膜剥離を生じ視力が大きく低下します。硝子体出血の除去や剥離した網膜を復位する手術が必要になります。
※
治療①②/当院では点眼麻酔、日帰り手術で対応しております。
治療③/大学病院など網膜硝子体手術の専門施設に紹介いたします。
続く