今月の「めからうろこ話」
第3回 緑内障(2016年9月)
今回は、緑内障についてお話させていただきます。
1.緑内障とはどんな病気でしょう
緑内障は、様々な要因で視神経が障害され視野(見える範囲)が狭くなる病気で、眼圧の上昇がその要因のひとつと言われています。
普段は両目で見ているため片方の目に見えない部分があっても、もう片方の目で見えない部分を補いますので、進行した状態まで緑内障と気がつかないことがあります。
また、緑内障で欠けた視野は元に戻らないため、早期発見早期治療が大切であり定期的な健診が推奨されています。
2.どれくらいの発症率でしょう 又どのような人がなりやすいのでしょう
岐阜県多治見市における大規模疫学調査(多治見スタディ)において、40歳以上では20人に1人、70歳以上では7~8人に1人が緑内障という結果となり、高齢になるほど多くなります。
強度近視の方、近親者(親・兄弟)が緑内障の方、血液循環が悪い方は緑内障になりやすいと言われています。
3.眼圧とはどういうものでしょう
眼球の中は、房水という透明な液体が循環しています。
眼圧は、房水循環により一定に保たれています。
房水の排出が障害されると眼圧が上昇します。
排出の違いにより2つのタイプに分類されます。
隅角が閉じているため、排出障害がおこる「閉塞隅角緑内障」、線維柱帯が目詰まりして排出障害をきたす「開放隅角緑内障」です。
日本人は、開放隅角緑内障の中の眼圧が11mmHg~21mmHgと正常である「正常眼圧緑内障」が全体の72%を占めます。
緑内障の多くの方は10年から15年という長い年月をかけてゆっくり視野異常の進行がみられます。
視野異常の進行を抑制する唯一のエビデンス(根拠)をもった治療は、眼圧を低く保つことです。
眼圧を下げるためには、まずは点眼薬治療を行います。
1剤で眼圧下降が得られなければ、点眼薬の変更あるいは追加を考慮します。
点眼薬治療で眼圧下降が得られない場合、あるいは視野異常進行がみられる場合などは、レーザー治療、手術治療を検討します。
当院では、最新の医療機器を用い、早期発見早期治療を心がけております。
40歳以上で、眼底検査などうけたことがない方は、眼科専門医の診察をお受けになることをお勧めいたします。
続く